さて、義塾には、社中の耳目を集める選挙が二つあります。
ひとつは、私自身がその「有権者」であり「候補者」(そして、偶然にも当選・・・)である「評議員選挙」。
もう一つが「塾長選挙」です。
評議員、塾長ともに任期は四年となっていますが、就任の時期がずれており、直近では、塾長選挙が今年2009年、評議員選挙が来年2010年に予定されています。
それぞれ「義塾社中の耳目を集める」と書きましたが、実際には広く世の中一般の耳目を集めているようで・・・
ということで、その塾長選挙の仕組みや実像について、皆さんに情報提供ができればと思い、これから2ヶ月の間(新塾長が決まるまでの間を予定)、不定期でお送りしようと思います。
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ということで、まず初回は「そもそも塾長ってどんな役割なのか」について。
塾長の権能については「慶應義塾規約」という、私立学校法で定められた「寄附行為」に定められています。
慶應義塾規約
規約第7条(塾長の地位,職務権限)
@ 塾長は慶應義塾の理事長とし,慶應義塾大学学長を兼ねる。但し,塾長が学長を辞退したときは,別に大学に於てこれを選任する。
A 塾長は,この規約並びに理事会及び評議員会決議に基き,一切の塾務を総理し,且つ塾務全般につき慶應義塾を代表する。
以上のように、一項に地位が、二項に職務権限が規定されています。
この規約上の地位と職務権限が定まったのは、『慶應義塾史事典』5ページ「塾長」の項によると、昭和25(1950)年10月に新制大学に移行するに際しての規約改正時だそうです。
ということで、現在は塾務全般について義塾を代表する、文字通り「義塾の顔、塾の長(おさ)」となり、今に至っています。
現在では、「学校法人慶應義塾」の理事長であり「慶應義塾大学」の学長であることは自明として、このほかにも義塾内組織である「総合研究推進機構」「デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構」の機構長も塾長の役割となっています。
組織図(2008年10月1日現在)
塾長に関する規定が成文化された明治14(1881)年以降、現任の安西塾長まで16名が選任されています。
歴代の塾長
しかし、この塾長、実は開塾当初は、今とは違う役回りだったそうです。
開塾当初は「塾生の代表として塾務を総括した者」のことを、塾長もしくは塾頭といったらしいのです。
その後、明治14(1881)年1月に「慶應義塾仮憲法」が制定された際に初めて、成文化された「塾長」が現れるのですが、これについても「理事委員会が現職教員から選んだ者で、教員の代表として社頭とともに塾務を担う」とされており、塾務の統括については、理事委員会と、その委員会の互選で選ばれた社頭が担うという形だったとのことです。(社頭は福澤先生)
その後、本格的に塾長が「義塾の顔」になっていったのは、明治22(1889)年8月に制定された「慶應義塾規約」からです。
ここで「評議員会の議長を兼ね、一切の塾務を総理する者」と規定され、この地位が多少の変更(評議員会の議長は兼ねない等)はありながらも、今に至っているということになります。
この明治22(1889)年から今年で120年。
塾長によって多少の色はあるのでしょうが、文字通り、慶應義塾という結社/社中の代表者として、塾長は、義塾のみならず日本の教育・文化に少なからぬ影響を与える地位と言えるでしょう。
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2009年10月18日:2009年慶應連合三田会大会まで、あと226日
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