90年に大学設置基準が大綱化されて以降、「事前規制」から「事後チェック」へという流れの中、大学や学部の設置についてはその条件がかなり緩和された期間が続いていました。
構造改革特区制度を利用して、株式会社でも大学を設置することができるようになりました。
その一方で、安易とも受け取られかねない大学・学部の設置も散見されるようになり、世間の耳目を集めるような事例も出るようになりました。(たとえば、LEC大学院大学等)
現在、「事後チェック」ということで、新設大学については、設置計画履行状況調査(通称「アフターケア」)を行い、設置当時の留意事項を継続的に改善等を求める仕組みを構築しています。
新設大学に対する留意事項(改善等を求める点)の内容及び新設された大学の概要
《文部科学省》
これに加えて今回、文部科学省では「入口」のほうも、より透明度を高める動きを始めるようです。
新設大学の教員名公表…文科省
《新聞記事:09年03月08日:読売新聞》
(ここから)------
文部科学省は来年度から、大学や学部の新設の際、教員名簿やカリキュラムなどの資料を公表することを決めた。
2004年の設置基準の緩和で大学の質の低下が指摘される中、認可後に大学側が安易に計画変更することを抑止する狙いがある。週内にも全国の大学などに通知する。
文科省は現在、大学の名称や住所などを公表しているが、それ以外の情報の公開は大学の自主的な取り組みに任せている。
しかし、設置基準の緩和を受けて、大学や学部などの新設が相次いだ結果、経営が安定しない大学の中には人件費を抑制するため、実績のある教授を若手に代えたり、カリキュラムを変更したりするケースも増えている。
このため、同省は2月下旬に省令を改正した。来年度からは、〈1〉カリキュラムや職員数、図書数などを記した基本計画書〈2〉学則〈3〉設立趣旨〈4〉教員名簿――などを同省のホームページ上で閲覧できるようになる。同省は当初の計画を公表することで、大学側の都合による変更を抑制したいとしている。
------(ここまで)
この動き、基本的には歓迎です。
というのも、これまで新設大学・学部についての情報は概括的な情報しか文部科学省のウェブサイトで確認できるだけで、それ以上の情報については、各法人の自主的な動きに任されていたため、「で、実際どんな感じなのよ」という情報を事前に把握することが困難でした。
しかし、今回、このような形で公開が義務付けられることによって、文部科学省のサイトを訪問するだけで、大学・学部としての情報が一通り確認することができるようになるわけで、比較・検討することがかなり容易になることになります。
というより、なぜ、これまでこういう動きをしてこなかったのか、理解に苦しみます。
大学側の自由度を確保することを意図していたのか、情報を独占的・一元的に文科省として把握しておきたかったのか・・・
いずれにせよ、前向きな変化、大歓迎です。
----------
2009年10月18日:2009年慶應連合三田会大会まで、あと218日
----------
----------
↓お読みいただきありがとうございました。宜しければクリックお願いします。