大学が自分の町にあることは、むしろ町にとっては厄介なことで、そこにいる学生が町を荒らしたりということが、中世にはよくあったそうです。
さて、とはいえ、そんなことは今は昔。
まぁ、もっとも日本の大学でも60年安保ぐらいまでは、学生と町が対立していた時期もありましたが。
今はどうかというと、大学はむしろ地域活性化の起爆剤と目されるようになり、大学の招致が一般化し、大学と町の蜜月の時代が訪れていると言ってよいかもしれません。
しかし、内実をよく見てみると「大学」があることは地域に一定の影響は与えていても「学生」と「町」との関係は、必ずしもそうはなっていないようです。
さて、こんなことを改めて考えさせてくれる記事を見つけました。
官学で国際連携 仙台市・東北大・米リバサイド市・UCR
《新聞記事:河北新報10月26日付け》
仙台市と国際姉妹都市の米国リバサイド市、東北大、カリフォルニア大リバサイド校(UCR)の4者が25日までに、自治体や大学の垣根を越えた新たな連携を目指す共同宣言を採択することで合意した。姉妹都市間、大学間の2つの交流軸を相互に補完し合うことで、例のない国際的な「官」と「学」との多重連携に発展させる考えだ。
仙台市の梅原克彦市長とリバサイド市のロナルド・ロバリッジ市長、井上明久東北大総長、レザ・アバスチャンUCR学長代理が11月1日、東北大片平キャンパス(青葉区)で宣言に調印する。
共同宣言により、(1)仙台、リバサイド両市の交流に関する両校の学術的見地からの助言(2)両校学生の交換留学とインターンシップ、スポーツ・文化・芸術交流に対する両市の支援(3)4者の国際的な官・学の連携による街づくりや環境分野への貢献―などが期待される。
今年4月、東北大の米国代表事務所(カリフォルニア州)の開所1周年記念式典で4者関係者が顔をそろえ、前例のない多重連携に向けた準備を進めていた。
仙台市とリバサイド市は、1957年に姉妹都市を締結し今年が50周年に当たる。ロバリッジ市長をはじめとするリバサイド市の訪問団約20人が、10月末から仙台市を公式訪問。これに合わせて共同宣言に調印する。
カリフォルニア大は、米国内に10のキャンパスを持つ世界有数の総合大学。東北大とは90年、包括的な学術交流協定を結んでいる。UCRは学生数が1万人を超え、半導体技術や環境分野の研究が盛んという。
東北大の庄子哲雄理事(研究・国際交流担当)は「共同宣言で、4者すべてが成果を得る『Win・Win(ウィンウィン)』の関係を目指す。将来的には、両市の産業界も巻き込んだ連携に発展させたい」と話している。
日本とアメリカの自治体と大学の四者が、それぞれのwin-winを目指して包括的な提携にチャレンジするそうです。
「大学と大学」「自治体と自治体」という二者間の提携話はよく聞くのですが、まとめて四者というのは初めて聞きました。
今回の例が可能になったのは、それぞれの大学が、その地域で主導的な地位を占めている存在であるというのも影響しているかもしれませんね。
今後の展開が楽しみです。
【今日(11月1日)は何の日】
印紙条例可決(1765)、オスマン帝国滅亡(1922)、マーストリヒト条約発効(1993)
【今日が誕生日】
夢窓疎石(1275)、萩原朔太郎(1886)、いかりや長介(1931)、ジョン・カビラ(1958)
【今日が忌日】
山背大兄王(643)、藤原広嗣(740)、徳川宗春(1764)、橋本左内(1859)
↓面白かったらクリックお願いします。