2008年04月19日

「特別転籍」とは何なのか

【今日の飲み会】
海鮮居酒屋「はなの舞」本郷3丁目駅前店
★★☆☆☆
東大:大学経営・政策コース4期生新入生歓迎コンパ。
(1期として卒業して丸1年経過。4期はロシアの方もいるようで)

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今週の大学業界を騒がせた事件といえば「立命館大学生命科学部特別転籍事件」でしょう。


事の次第はこうです:
今春開設された立命館大学生命科学部では、入学定員280人のところに予測を大きく上回る414人が入学手続を行った結果、入学定員超過率が1.48倍に。これは、文部科学省の私立大学等経常費補助金の交付基準である1.40倍を超えていたため、定員超過率が1.39倍となる389名を目標に「特別転籍」の希望者25名を募集し、希望した8名全員の転籍が認められた。(それでも超過している)



さて、これについては4月16日に立命館大学から記者発表があり、いったんは収まった形になっています。

2008年度生命科学部における特別転籍についての考え方と今後の対応について《記者発表:立命館大学:4月16日付け》

発表内容はこうです。

----------ここから
このたび立命館大学において実施いたしました特別転籍に対し、「私学助成との関係で疑念がある、生命科学部以外の学生が対象とならないことなどの不公平感がある」などの社会的なご批判をいただきました。また、4月15日には文部科学省、日本私立学校振興・共済事業団から事情聴取を受けました。
 これらのご批判を踏まえまして、4月15日、16日の常任理事会において、教育・研究機関である大学として社会的な説明責任を果たす必要から、生命科学部における特別転籍についての考え方と今後の対応について決定し、これを受けて、本日、川口清史学長が記者会見を行いました。
 記者会見で説明いたしました内容は下記の通りです。
立命館大学は、教育機関としての社会的責務を一層深く自覚し、社会的説明責任という観点を強くもって、今後とも、教育・研究の創造にむけて、より一層の努力を重ねていく所存です。


  ■2008年度生命科学部新入生を対象として実施した特別転籍についての基本的考え方と今後の対応について■

 今回の特別転籍に対し、私学助成との関係で疑念がある、生命科学部以外の学生が対象とならないことなどの不公平感があるなどの厳しい指摘を受けました。本学では、この指摘を真摯に受け止め、昨日夜に緊急の常任理事会を招集し、今後、特別転籍を実施しないことを決定しました。この決定は、教育研究を通じて人材の育成と社会の発展に貢献することを使命とする教育機関である本学が、学生に不公平感を持たせることはあってはならないという判断に基づくものです。また、私学助成が不交付にならないことのみが目的であるという疑念を抱かせる措置を続けることはできないと考えました。このような疑念をもたれるような措置を行ってきたことは、大変遺憾であり、深くお詫び致します。

 生命科学部は、今年4月に開設した新設の学部ですが、9000名を超える志願を頂くことができました。合格発表に当たっては慎重に判定を致しましたが、入学手続率の見通しの甘さもあって、結果的には定員の1.4倍を上回る入学手続者数となりました。本学では、国から私立大学に交付される私学助成は、教育の質の向上とそれを支える基本的教育条件を整備する上できわめて重要な役割を果たしていると考え、私学助成が交付される学生数を教育条件の保障を担保する指標のひとつとして認識してきました。このような中で、特別転籍は、学部等の設置認可申請の基準に抵触することや私学助成の不交付を回避しつつ、各学部の教育条件を保障するものとして行ってきたものです。具体的には、これらの基準を上回る入学手続者数となった場合、クラス規模や教員体制、教室条件など最低限の教育条件を保障することが困難になる恐れがあります。こうした事態が生じないように、クラス数増加や新たな担当教員の確保、教室条件の工夫などを短期間の間で行ってきました。さらに、他の学部等で学ぶことを希望する学生がいる場合は、その希望を踏まえて特別転籍を行ってきました。

 本学では、1993年度の国際関係学部および文学部哲学科、1994年度の理工学部、1999年度の政策科学部においても特別転籍を実施しています。特別転籍にあたっては、本人の希望を前提に、その勉学意欲や学習目的などを関係する学部で慎重に審査した上で転籍の可否を決定してきました。しかし、入学直後に転籍を実施していることや生命科学部のみで実施したことについては、不公平感をぬぐうことは困難であると言わざるを得ません。
本学は、本日の常任理事会において、特別転籍に関わる事実経過の確認と検証を行うために、外部の有識者を委員長とする「特別転籍に関する検証委員会」を設置することを決定しました。また、今回の問題を教訓とし、教育機関としての社会的責務を一層深く自覚し、社会的説明責任という観点を強くもって、今後とも、教育・研究の創造にむけて、より一層の努力を重ねていく所存です。

----------ここまで


立命館側の説明としては「補助金が不交付だと学生の教育の質を確保できなくなる。そのため特別転籍という制度を用い、不交付にならないようにこれまで行ってきた。しかし、これからはそのようなことは行わない」ということのようです。




えぇと、


ちょっと待ってください。




「入学定員:280名」ですよね???




それを4割も超える「見込み違い」とは、一体なんなんでしょうか?



そもそも冷静に考えれば、生命科学部の開設は、この分野が将来性がある(入学希望者を引き付けることが出来る可能性が高い)からですよね。
将来性が低い学部を、このご時勢に開設しようとする大学なんてどこにも無いのでは無いでしょうか。
しかも、ここは立命館。「改革のデパート」と呼ばれている、今最も注目されている(?)大学です。
見込み違いにも程があるのではないでしょうか。



立命館からの発表からもあるように「特別転籍」については、1993年度の国際関係学部および文学部哲学科、1994年度の理工学部、1999年度の政策科学部においても行われていたようです。

上記の記者発表から見えてくる立命館のスタンスは「これまでもやってました。だってお金もらえなくなるもん。それって学生にとって悪いでしょ。でも皆から怒られたから、もう止める」というものです。



ちょっと違うのでは、と。



では「入学定員」ってなんなんでしょうか?

そもそもこの補助金の交付は開設年度は1.4倍、以降は1.3倍までの定員超過率を許容しています。

そもそも「入学定員」とは、その学部学科で教育を行っていくうえでの「最適(ないしは最大)」の人数なのではないでしょうか?

それを3割増しまで許容している自体、大学経営にとってはありがたいことこの上ない(3割収入が増える)ことなのでしょうが、学生にとっては迷惑にも程があるというものです。


3割増しですよ、3割増し。


定員100人だったら130人、
定員200人だったら260人、
定員500人だったら650人、
定員1000人だったら1300人です。


わが義塾や早稲田のような大学では、定員1000人クラスの学部がありますが、ここで「3割増し」をしたら、それだけで、今回の立命館の生命科学部の入学定員(280人)を「食って」しまうことになるんです。



確かに、こんなに取ってしまった上に、経常費補助金まで不交付となれば、それこそ「目も当てられない」ことになってしまうわけで、それゆえの苦肉の策だったのでしょうが、それにしても・・・・





いやぁ「特別転籍」って制度があるなんてことも、今回初めて知りました。

複数の学部を全て一つにしてしまえば(アメリカのような「School of Arts & Sciences」)、その中での人の動きだけが問題なわけですから「特別転籍」なんて不思議な仕組みも必要ないと思うのですが。
これも、学部をそのままで分けておきたいという大学側の都合でしかない気がします。




立命館大:入学補助金基準を超過、新入生に転部募る 生命科学部、定員の1.5倍《新聞記事:毎日新聞:4月14日付》

立命館、学生取りすぎ 補助金対策?他学部転籍募る《新聞記事:朝日新聞:4月14日付》

立命館大新設の生命科学部 補助金削減避け…他学部いかが《新聞記事:読売新聞:4月15日付》

立命館大:転部募集 文科省、聴取 「入試の公平損なう」《新聞記事:毎日新聞:4月15日付》

立命館大:転部問題 新入生の転部、廃止 不公平認め謝罪《新聞記事:毎日新聞:4月17日付》

学部転籍問題 立命館大学長が一転謝罪《新聞記事:朝日新聞:4月17日付》




追伸1:
その昔(経常費補助金の制度発足前)、60年代に日大では毎年毎年学生をどんどん入学させ、どんどん教育環境が悪化し、ついには大学紛争の一因になったそうです。その反省もあって、補助金制度やその交付基準が定められたはずなのですが。


追伸2:
以下の23日のディズニーシーですが、行くことにしました。
当日行かれる方は、事前にご一報いただければ幸いです。当日ディズニーシーでお会いしましょう。




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4月23日:「塾生集合!! 社中の絆 in 東京ディズニーシー(R)」まで、あと4日
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11月8日:「創立150年記念式典」まで、あと203日
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posted by Tommy at 23:57| 東京 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | 大学一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まあ、定員割れだけは絶対に避けたいと思ったのが一つと、受験生の志望順位が読みきれなかったので、せっせと合格出してしまったんでしょうね。

西富さん、今年から院ですか。
今後のご活躍を祈るや切です。
Posted by たいしょう at 2008年04月20日 05:58
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