今回、名誉博士号を授与する相手は、ポール・デービッド・ヒューソン氏(KBE)です。
というよりも、U2のボノと言ったほうが分かりやすいですね。
「U2」ボノ氏に対する慶應義塾大学名誉博士称号授与式、慶應渋沢講座ボノ特別講演
「U2」ボノさんに名誉博士号 慶大、アフリカ支援評価
《報道記事:朝日新聞:5月27日付》
エイズ対策に貢献の「U2」ボノさん、慶大が名誉博士号授与
《報道記事:読売新聞:5月27日付》
慶応大:U2のボーカリスト、ボノさんに名誉博士称号を授与 貧困の撲滅訴え
《報道記事:毎日新聞:5月28日付》
慶大初ロッカー名誉博士のボノ記念講演 「貧困救済ノスゝメ」
《報道記事:サンケイスポーツ:5月28日付》
三田についたのは16時10分くらい(開始10分くらい前)だったわけですが、既に中庭には、人だかりが・・・
おそらくは、人だかりの向こうにご本人がいたのでしょうが、横目に見つつ演説館へ。
さすがに、今回はいつもの授与式とは違うようです。
評議員宛に送られてきた案内状にも「ご出席の際は本案内状を受付でご提示くださいますようお願い申し上げます」
との文字が。
演説館前にはテントが張られ、受付が。
マスコミの数も段違い。
というよりも、過去5回ぐらい名誉博士号授与式に列席したと思うのですが、こんなにプレスが入っているのを見たのは初めてです。
(ちなみに、そのプレスの中には私の新聞研時代の先輩の姿もありました)
評議員席は檀上向かって右側二列目なのですが、今回は東証の西室会長とメルシャンの鈴木会長が列席されておられました。
さて、実際の名誉博士号授与式は、中庭で捕まっていたせいか、定刻よりも少し遅れて開始。
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式次第
一、開式
一、推薦文朗読 法学部長 国分良成
一、学位記授与
一、式辞 塾長 安西祐一郎
一、挨拶 U2ボーカリスト(通称ボノ)ポール・デービッド・ヒューソン
一、閉式
司会:法学部教授 山本信人
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司会の山本信人教授より開会が告げられ(山本教授は我が恩師であります)、まずは、今回の名誉博士号の推薦学部である法学部の国分良成学部長から推薦文の朗読が。
(推薦文、英語でそこそこの長さがあり、ちょっと大変だったようです)
学位記授与では、安西塾長がボノさんと一緒に壇上へ。
ボノさんによる受諾挨拶では「特別なものをいただき感謝しています。私に英知と知識があるかどうかは分かりませんが、知的好奇心だけはあります」と。
はじめに壇上の福澤先生の肖像画を見て、その立ち方を真似る仕草も。
演説館での式は16時45分ぐらいには終了し、場所は西校舎ホールへ移動。
(演説館から西校舎へ移動するプレスの方々)
西校舎正面には、17時からの講演の告知看板が。
今回の講演は、渋澤栄一記念財団からの寄付講座である『シヴィルソサエティ論』の授業の一環として行われるようです。
実際に西校舎ホールに入ってみると、塾生がギッシリ。
この講演、三田では西校舎ホール向かいの517教室に、それに加えて日吉、藤沢にも生中継したそうです。
講演そのものは、ボノ氏自体が、なぜ今のような活動をしているのか、その意味は何なのかを、音楽との関係の始まりから今に至るまでの活動を紐ときながら語るという内容でした。
彼の故郷であるアイルランドの150年前と今、日本の150年前と今を考えたとき、アフリカは現時点では「うまくマネジされていない」けれど「アイルランドが、日本がそうであったように、うまくすれば状況は変えられる」と。
彼自身の過去のゴタゴタや、カトリック的価値観から来る行動に批判的な方もいるようなのですが、現時点の彼の行動は、人々の心を打つものがあり、私自身も、正直感心・感動しました。
さて、講演自体は質問も含めて1時間ほどで終了し、Dr.ボノは会場の外へ。
外では、ボノ氏に握手・サインを求めようとする沢山の塾生たちが。
私自身は「関係者」だったので、なぜかボノ氏の後ろを歩き、かなりの至近距離でご本人の動きを眺めていました。
握手は、し損ねました。(握手しようとしている右手は、西村常任理事)
その後、ボノ氏は関係者ともども旧図書館に立ち寄り、義塾ならびに福澤先生関係の資料を見学。
(出待ちのマスコミ)
見学終了後、旧図書館前で記者会見。
会見そのものは15分程度行われ、その後ボノ氏は車上の人となって三田の山を後にしました。
聞いたところによると、今回の話は『シヴィル・ソサエティ論』の運営を渋沢栄一記念財団に協力して行っている日本国際交流センター側がボノ氏と近く、その縁で実現したとのことでした。
自分一人だけだと小さくても、
それは日本という環境でこそ、相対的小さいだけで、
今回のテーマであったアフリカでは、すごく大きい力となりえます。
ONE
ボノ氏自身が講演の中で話していたのですが、将来、自分の子供に今の状況を説明することができるか、と。
日本を含む欧米諸国が繁栄を享受し、アフリカを中心とする数多くの国々が貧困に喘いでいる、そんな二面性をもった地球に生活していたということを、胸を張って語れるか、と。
ちょうど先週の日曜日、NHKスペシャルで
「北極大変動」という番組をやっていたのですが、正直驚きました。
科学者の口から「Point of No Return」という言葉を聞きました。
もう、引き返せないところに来てしまっている、と。
温暖化による影響で氷が張らなくなった結果、厚い氷がに巣を作るワモンアザラシが生活できなくなり、そのワモンアザラシを餌とするホッキョクグマが、餌不足で餓死しているという実態が報告されていました。
貧困にせよ、温暖化にせよ、
起こっている現場こそ「他国」かもしれないのですが、
その影響は「自国」にも跳ね返ってくるという現実。
これは、他の惑星で生活できない限りは、人類が逃れられない宿命です。
この惑星がおかしくなってしまえば、どんなにお金を持っていようと、どんなに地位が高かろうと意味がありません。
日々、目の前の仕事に目を奪われがちではありますが、多少なりとも立ち止まって、良く考えてみないといけないようです。
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11月8日:「創立150年記念式典」まで、あと160日
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